私の考えでは
審美歯科とは特殊なものでないと常に考えている。個人個人の顔に調和した歯の長さ歯の色調歯の大きさ、歯茎に調和した修復物であると考える。被せ物の材質で審美といえば自動的にセラミック修復があげられる。この素材は陶器=ポーセレン=セラミックと呼ばれ、前歯の被せ物には大変有効で審美的である。もともとの私の専門は
審美歯科であり過去にオールセラミッククラウン、ラミネートベニア、セラミックインレー、AGCクラウンなど多くの修復物を手がけてきた。これらのセラミックはアルミナポーセレンと呼ばれ粉上のセラミックを水で溶いて少しずつ金属の内冠に盛り上げて釜の中で焼いて作られる。このアルミナポーセレンは歯よりも硬いが弾性がないために割れやすい性質がある。この欠点を補って開発されたのが
ジルコニアである。
ジルコニアは人工ダイアモンドで金属よりも硬い素材である。薄い板状にしてみると質感はアルミの1円玉にそっくりである。セラミックなので光に透かしてみるとうっすらと光が透過する素材である。この素材を応用してつくられる被せ物を
ジルコニアオールセラミッククラウンと呼び、金属でないので
金属アレルギーも起こらない理想的な審美性の高い生体親和性の高い素材である。そしてなによりも硬いためにオールセラミッククラウンのブリッジが簡単にできてしまい、壊れても、すべてが白あるいは薄い肌色なので目立たない点である。
従来からあるプロセラオールセラミッククラウンの700メガパスカルの破壊強度に比較して
ジルコニアオールセラミックは1200メガパスカルの破壊強度がある全く別物である。ちなみに従来のアルミナポーセレンは100メガパスカルに満たない強度である。インセラムやエンプレスでも400メガパスカルである。
左上の画像より上が
ジルコニアオールセラミッククラウンのブリッジで下が従来のアルミナポーセレンのブリッジの内面である。
左下の画像はブリッジの表面である。
この硬い素材は大きな
ジルコニアの塊をコンピューター制御で削りだす方法でしか加工できない。
私のこれからの普及活動はこの
ジルコニアであり、すでに私の
技工所にはこの関連の装置が導入済みである。今後更に最新の装置を1〜2台導入する予定である。
費用的には
ジルコニアオールセラミッククラウン1本13万円となってしまう。この理由はまだまだ高価な機械と材料代がかかるからで安価になるには相当な年数かかると思われる。