ある歯科医院は年間1000本以上あるいは500本以上の
インプラントを植立している。私の病院ではだいたい300〜400本で推移している。もし仮に今まで300本の
インプラントが次の年、倍の600本になったとしたら、お手上げだ。
インプラントの手術が1日に3回以上あればそれだけで6時間ぐらいはとられてしまうので残りの2時間の治療時間では
インプラント以外の治療やメインテナンス時のチェックも行き届かなくなるのが現状だ。私の考えではきちんとした
インプラント管理をするには年間1歯科医院300本ぐらいをコンスタントに行うのがいいと考える。あまりにも多くの
インプラントだけの患者に時間を費やすことはひとりの患者に時間をかけることができなくなる=質の低下をもたらすのである。歯科医師とはひとつの口の中全体を総合的に治療してはじめて本物と考えている。
インプラントをただ入れて歯をつけることは長年
インプラント治療をしていれば非常に簡単なことである。最も難しいことはその
インプラントをいかにして長持ちさせるかである。
インプラント治療を選択される多く患者さんは正常者と比べればすでに
虫歯や歯周病になりやすかったり、全身疾患があったり、噛み合わせが非常に強かったりと問題を抱えているのである。その原因を置き去りにして
インプラントだけを入れれば長年のうちに抜けることは必至である!
多くの患者さんはドクターの腕を計る物差しとして年間の植立本数や
症例数が多い歯科医院を選択することが多いが
インプラントだけではなく他の歯の治療やメインテナンスが行き届いているかで判断してほしい。私個人としては月に10回程度のオペで十分でそれ以上のオペはしたくないのである。そんなこともあってひとりで多くの患者さんを管理するには限界があるので他の先生にも
インプラント植立をお願いし、歯科衛生士にメインテナンスをしてもらっている。
これからますます
インプラント治療が行われるようななれば多くの歯科医院がこの問題に直面するようになるだろう。