私が育った国際デンタルクリニックの産みの親である保母先生は咬合理論を世の中に広めた第一人者である。このような環境の下、いろいろな咬合理論について勉強したことを思い出す。いわゆるナソロジーというオーラルリハビリテーションは歯だけを診るのではなく顎の関節から噛み合わせを考える学問である。保母先生の場合は口の中の状態をひとつの咬合器に再現することから始まり、歯の傾斜特に犬歯による
ガイドで正常な咬合が生み出されることを提唱してきた。
私は長年の勉強から神奈川歯科大学の佐藤貞夫先生(
矯正科の教授)の理論が理にかなっていると考えている。この理論は順次誘導咬合でオーストリアのウィーン大学のスラバチェック元教授の咬合理論である。更に佐藤先生は骨格の成長過程でどのように不正咬合が発生していくか、などの独自理論を提唱している。
今日いらした顎関節症の患者さんはいろいろな問診から推測すると歯並びから顎関節症になった患者さんであった。歯並びで特に全身に重い症状が出るのは開口と呼ばれる噛み合わせである。この患者さんも奥歯左右以外の歯は全てどんなに噛んでも当たらない噛み合わせであった。このようなケースでは
マウスピースで一度正常な咬む位置を再現してから
矯正治療で上下の歯の接触ポイントを増やすしかない。