今日はある患者さんとこれから受ける
インプラント治療までの決断について本音で語ってもらった。我々、歯科医師側が思っているよりもずっと心の決断＝勇気がいるとのこと。何が怖いかというと異物が体内に埋め込まれるという怖さがあるのだと思う。それと痛みや腫れがあるのではないかといったことだろう。
正しい知識があれば極端に怖いイメージは薄れていくだろう。多くのホームページでは新しい技術の紹介が主流になっていて実際の
インプラントがどのようなものなのか実はあまり書かれていない。
インプラントの材質について
現在の
インプラントはほぼ１００％がチタン製である。このチタンはグレード1~4に分類されておりグレード1ほど限りなく不純物の少ない純チタンということになり強度は低下する。実際の
インプラントはグレードが２，３，４といったものが多いようだ。
インプラントが骨と結合することをオッセオインテグレーション（骨とチタンが結合するということ）＝生体がこの物質を自分の体の一部だと認識することから骨の細胞がチタン表層にからみつき
インプラントが固定される。純度の高い
インプラントほど
インプラント周囲に骨細胞がちかよることになる。
現在開発中の
インプラントの材質はチタンではなく
ジルコニアによる
インプラントである。次世代の
インプラントは確実に
ジルコニアで修復されることが予想される。
ジルコニアもチタンと同様に生体親和性の高い物質であることが医学で証明されている。チタン性の人工関節を失われた骨の中に埋める代わりに
ジルコニアの人工関節を埋めることができるようになった。
この両者チタンとジルコニアは何が違うのか？
�―鼎気�違う。
ジルコニアのほうが軽い
�⊃�調が違う。
ジルコニアは白色が基調
�２湛�が難しい。チタンよりも
ジルコニアのほうが加工が難しい
加工技術が進歩すれば明らかに
ジルコニアが有利になるだろう。白色ということで歯を作る材料は白色が基調だから有利である。
このように現在の
インプラントの材質の問題はどこのメーカーでも全く心配はいらない。
次に多くの方が考えることは痛みと腫れである。痛みについてはオペがうまくいけば当日だけの痛みに限定されることがほとんどである。チタンが体の一部であるということが認識されれば生体の中で起こる炎症は歯茎を切ったりしたときの炎症によるものだからだ。実際、私がよく行う
フラップレス法はほとんど切らないので痛みも腫れも出たことがない。過去のブログに何度も書いているオペ時間と腫れや痛みは相関するのでデータとして書いている。オペの時間が短いほど腫れや痛みは出ない。事実、10年前の私と今の私を比較すると1本の
インプラント植立に昔は30分間かかり、今は5~10分間がほとんどであり、痛みは当日のみで腫れが多少出る程度となった。すばやく正確に植立することが重要である。この違いは私に何度か
インプラント手術を受けた患者さんが言われる。『昔はもっと大変だったが今は楽になりましたね〜。技術が進歩したんですね！』確かに技術も進歩したが全てのレベルが変わった。
最後に一番気になるのが失敗である。失敗したらどうなるのか？
インプラントの失敗の可能性は私の医院では年間１〜３％で世界の優秀な施設と比較しても同じぐらいである。これは毎年成功率がわずか０．数％ほど向上していると思う。失敗した
症例は全て思い出せる程度のごくわずかでほとんどの特殊なケースの方に集中して抜けているということ。
インプラントをしてすぐに抜ける初期の感染は年間に380本中1~2本程度。再度入れなおせば１００％の成功である。開業以来すでに12年経過しているが数年経過して抜けるものをいくつか経験している。ほとんどが元の骨の厚みと高さが不足している難
症例であり、骨がたくさんあって抜けるということは実はほとんど無い。たまに汚れから
インプラント周囲の骨が歯周病と同じ状態になり毎年わずかずつ
インプラント周囲の骨が溶けて抜けることがある。
抜けるときには痛みはなく、ほとんどが『ポロッ』といった感じに手でも簡単に抜ける感じである。
インプラントの良いところはこのあとにやり直すことだ出来ることである。骨の中に埋もれたものを取り出すと1~2ヶ月で骨が再生して再び
インプラントを入れることの可能な骨へと変化するのだ。すなわちこのようなフォローを続ければ半永久的にもつということになるだろう。
以上が私の長年の経験からの
インプラントの正しい知識である。これを信じていただければ咬む機能を回復できることをお約束しよう。
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