口の中から金属をなくしていこうとする患者さんのご希望は非常に多く毎月の
ジルコニア使用比率が上がっている。去年の秋から今年まで半年間の
ジルコニアオールセラミッククラウンの装着経過を報告したいと思う。
フィットに関するところ
フィット(適合)に関しては導入当初は
技工所のスキルと機械のキャリブレーションの不調和で最初の2〜3ケースにおいてフィットがきつかったりといった
トラブルがあったが6ヶ月経過後のいまではほぼメタルを使用した精密適合と同じレベルに達したように思う。安心してフィットの部分は
技工所に任せられるレベルとなっている。
強度に関するところ
強度に関しては従来のセラモメタルクラウン(メタルボンド)と比較しても調整時にクラウンの表面を削った感触でもなかなかすぐには削れないほどに強度アップしている。患者さんの口の中で割れたケースは1ケースもいまのところない。
色調に関するところ
色調に関してはもともとの
ジルコニアが白いこともあり白くしたいというケースにおいては最適であり健康的で透明感のある自然な歯に仕上がることが多い。その反面、白さよりも周りの歯に合わせて濃く作る場合は下地の白色が反映されてしまうのでやや不利である。その様なケースに対しては
セルコンではもともとある黄色の
ジルコニアブロックを使用し対応している。それと削った歯が変色をしていてもメタルであっても色調に大きな差は出ないのが
セルコンの特徴である。
生体との相性に関するところ
いまのところ入れた歯の周囲から炎症が進行したケースは1ケースもなく逆に歯茎とに相性はとてもよいことがわかる。
使用セメントに関するとこと
仮付けではいつものハードセメントを使用し本付けではレジン系ビトレマーセメントを使用しているが
トラブルはない。文献から言うと何を使用しても強度があるので問題はおこらないがレジン系セメントでさらに強度が上がるようだ。
仮付けに関するところ
いままでのオールセラミッククラウンは仮の装着が出来なかった。そしてプロセラアルミナは適合が緩くはずれることがあった。
セルコンは
技工所のハンドメイドなのでしか医師側で適合状態を自分の考えているレベルに調整することが出来る。
プロセラとの比較
適合精度は明らかに
セルコンの方が勝る。メタルのフィットとほぼ同等になり全く問題ない。プロセラアルミナは過去にいくつか使用してみたが全体的に適合が緩く仮付けしている間に外れることが多かった。それと仮付け用のノブがつけられないのでその点で不利である。製品が仕上がるスピードはいまのところ
セルコンは提携ラボに
CAD/CAMともにあるのですぐに仕上がるがプロセラは海外経由なので3週間かかってしまう。料金的にはプロセラの方が安いようだがいまのところメリットはあまり感じられない。8月以降に千葉県にプロセラの工場が立ち上がるがそれ以降は製品の適合と料金の兼ね合いからプロセラが広まる可能性がある。
現時点での総合結果
自分としてはほぼ満足をしているがこの
ジルコニアに精通する歯科医師、歯科
技工所や歯科
技工士が不足しているのでその点がカバーできればさらに普及するだろう。