ワイヤー
矯正装置がいま変貌を遂げようとしている。歯の表面につけるブラケットの構造がトンネル式になり、歯の移動のスピードが格段に速くなってきた。
マウスピース矯正に比較すると見た目が悪いこの装置もスピードと正確さという点ではどの装置にも負けていない。歯の全体を動かさなければいけないケースではワイヤー
矯正が主に使われる。私の考えでは
矯正装置の見た目も大事な要素であるがもっとも重要なのは早く正確に終わらせることだと考えている。苦痛期間を極力減らし、痛みを軽減できる装置を選択した方が満足度が大きくなる。そして、以前と違い社会的にも
矯正装置がいじめや差別を生むことはなくなった。歯並びの意識の高い米国では当たり前であり歯並びが悪い方が(なぜ治していないのだろうか?)と周りから思われてしまい、出世に影響をするようだ。
ワイヤーとブラケットの摩擦が少ないほど歯の動きはよい。今までの
矯正ではワイヤーをブラケットに装着する際はケッサツ線と呼ばれる細いワイヤーで縛っていた。これは逆に摩擦を生むのでかえって歯の動きを悪くしてしまう間違った
矯正法である。特に
矯正開始初期の段階で大きく歯を動かしたいときはトンネル方式が有利である。私のクリニックの7割の
矯正患者さんは
デーモンブラケットかクリアブラケットを使用している。残りは
マウスピース矯正である。このトンネル方式の患者さんの歯の動きは異常なほどに早く、装置をつけて1週間後には歯が動き出している。そして2~3ヶ月放置すると勝手に歯が並んでいる。