第13回フリアデントワールドシンポジウムレポート
今回の開催はドイツのベルリンで2日間の日程で行われた。約2000人の会場で各国の
インプラントドクターが集まり多くの講演やライブサージェリーがおこなわれた。その中でも目玉となったのは新しい
アンキロスインプラントの登場と審美領域におけるプラットフォームスイッチ構造の優位性、コンピューター
ガイドサージェリーである。
ドイツ本国での
インプラントのシェアは
ストローマンインプラントの次に
アンキロス・
ザイブ・フリアリット2を有するフリアデント社である。フリアデント社は世界の歯科産業の中で最も資本力のある歯科総合メーカーである。フリアデント社が取り扱う
インプラントは過去にはIMZ・フリアリット1,2・
アンキロス・
ザイブということになる。フリアデント社は常に
ストローマンインプラントを意識しながら独自の良い製品を開発している。単なる
インプラントメーカーとしてだけではなく多くの歯科製品を取り扱うようになってきた。歯科市場のもっとも収益の上がる部門が
インプラントと
矯正であり、その収入を元に
インプラント以外の部門を企業買収し発展してきている。その中で最も脚光を浴びているのが
CAD/CAM技術の発展の中で
ジルコニア修復やセラミック修復である。更には
CTスキャン普及に伴い、コンピューターシュミレーション
ガイドによる安全な
インプラント植立と
CAD/CAM技術の融合も今後大きく発展すると思われる。
今回、アジアから200人ほどのドクターが集まったがその多くは中国、台湾、韓国であり日本のドクターは10人ほどであった。毎年、世界中で行われる
インプラントシンポジウムに参加してきたが、アジアドクターの中心から日本のメンバー離れが進んでいると思う。シンポジウムの司会進行役にも中国人のドクターがおこない日本のドクターの発表は杉山先生ただ一人となった。これはある意味、世界的に経済格差が進んでいることとも連動し、日本の競争力が低下してきていることを意味する。国外の歯科業界は毎年凄い勢いで発展とているが、そこの大きな流れから日本は取り残されようとしている。
このような現状を生み出した我々歯科医師にも責任があるかもしれないが、日本国の厚生労働省の薬事認可の厳しさと歯科保険制度にしがみつく歯科医院が多いことから経営体力が低下したこともあるだろう。新しい技術や薬剤、が海外で販売されたとしてもその商品を国内のディーラーが販売するには厚生労働省の許認可が必要である。現状では認可は早くても1年以上かかる。このような理由から日本の歯科は時代遅れとなってしまう。
例えば、
ストローマンインプラントのSLActiveと呼ばれる新しいタイプの
インプラントは2005年に製品化され海外ではどこでも手に入る状況であるにもかかわらず、国内では2008年になっても未だに認可が下りていない。国内ではホワイトニングの薬剤にしても3世代遅れた商品いまだに販売している.ヨーロッパでは販売中止になった
インプラントを堂々と販売していたりと、3年のブランクを取り戻すのはまず無理であろう。それだけ、日本の歯科医療は鎖国状態であり遅れていることを意味する。
日本のインターネットの通信網や携帯電話の環境は世界でナンバー1である。海外にいながらにして携帯電話から簡単にメールや電話がかけられる。すばらしいことである。3年前の国内で使われていた携帯ではインターネットを閲覧したり、ワンセグ視聴ができたり、といった機能もなく通信スピードが遅かったように思う。このような差が歯科でも起きていると思ってもらえればいいだろう。
私の目指す歯科治療はできれば世界の流れと同じようなタイミングで同じレベルでやりたいと思う。これは最低限の目標である。