インプラント治療における長期データとはどういったものだろうか?3年、5年、10年、15年、20年 ?成功率?生存率?
いろいろなメーカーでデータを出しているが全くデータがないところもある。非常に怖いことである。
私の基準は最低10年間できれば20年間以上もつことが
インプラント治療には必要だと考えている。歯を失う年齢を考えたときに大抵は30歳代から徐々に欠損が増えて50歳〜60歳まで放置すると相当に悪い状況で何本もの
インプラントが必要になる。30歳で
インプラントをして3年でダメになるならやらない方がいいだろう。10年でも短いように思う。やはり20年以上だろう。
しかし、20年のデータをもっている
インプラントメーカーと言えば2社ぐらいしかないだろう。代表的なものは35年以上の歴史のある
ストローマンと40年以上の歴史のある昔のブローネマルク
インプラントである。
私のホームページにはいくつかの
インプラントメーカーの紹介をしているが実際に自分から積極的に使用しているのは現在では
ストローマンと
アンキロスだけである。
アンキロスはすでに16年データを発表している。
3〜5年のデータしかもたない
インプラントをどんどん患者さまの口にいれていくことは問題だろう。5年経過以降に抜けると仮定して、他のメーカーの
インプラントでフォローをすることになり毎日やり直しで毎日クレーム処理ということになる。そして廃業。困った患者は近隣の
インプラントクリニックに相談することになる。そして
インプラント治療の評判は落ちてやる人は減り自分たちの首を絞めることになるだろう。
毎年1000本の
インプラント植立で初期の喪失は最低1%のロスはおこるので10本はやり直さなければいけいない。私のクリニックでは毎年300本ぐらいの植立で1%の失敗で3本ぐらいだろうか。それでもやりなおせば100%というデータである。
これは単に初期の喪失である。
インプラントが歯として機能してから喪失するケースも当然出てくる。原因はさまざまであるが歯周病、咬合圧、磨けない、磨かない、全身疾患がひどくなった場合でありこれは全体の1〜2%ぐらいだろう。すなわち3%ぐらいは長期でロスしてそれをやり直してまた0%にもっていく必要性が出てくる。
年間2000本、10年間でいずれは問題がおこるのが600本である。
どんなに成功率のよい
インプラントを使用しても10年間では3%に問題がでる。全くデータのない
インプラントはそれ以上の%率で問題が出ることが予想される。問題が出てもそれをフォローすることができるのならいいと思う。
自分のクリニックからこのような患者を出さないようにするには最低限データに基づいた安全な
インプラントを使用するべきだと思う。それと最低10年、できれば20年以上の持たせるようにしてきたい。