最近、通院されている患者様に保険診療と自由診療とはどう違うのかという質問を受けるようになった。それと保険が使えないということはどういうことか。といった質問も多い。
まず、現在の保険制度は誰でもが安い治療費で同じような医療を受けることが出来る面が最大のメリットだと思う。特にこのご時世の景気低迷期においてはなおさら。その中で完全に保険治療を行わないというのは自分にとっては人生最大の賭けでもある。理想治療をめざしていくとどうしてもこの壁(保険制度)にぶつかることになる。
現在の歯科における保険制度の最も大きな問題点は多種多様な治療法がある中で限られた治療法しか保険に導入されていないということである。それと治療の質が全く評価されてないシステムであること、がんじがらめのルールの3点に集約される。
私の治療の中心は
インプラント・
矯正・
審美歯科・ホワイトニングなどであるがこれらはすべて保険制度には組み込まれていない。歯に詰めることのできる材質は金銀パラジウム合金、
アマルガム合金、銀合金、レジン樹脂の4種類ぐらいだろう。ほとんどの患者様は歯の色と同じ材質で耐久性のある
金属アレルギーのでないセラミックを選択したいはずだがそれができない。
私の
治療方針の中で安全で耐久性のある材質を選択していくと上記の材質はひとつも残らないことになる。
私の次の
治療方針の歯をなるべく削らないを実行しようとした場合、保険制度では歯を削れば削るほど評価の高いことになるのでそうした歯科医師が増えてしまう。歯は削れば削るほど寿命が短くなる。そうした歯科医師=破壊医者である。
私の3番目の
治療方針のブリッジ治療はなるべく行わないを実行しようとした時に必要なのは
インプラント治療と
矯正治療であるが保険では両方ともできない。ブリッジ治療は健全な歯を削りつなげる橋渡しの治療法で平均的に7〜8年でダメになる。そして2本の歯で3本を補うなど土台の歯に負担ばかりをかけてしまう。
義歯に関しても見た目の悪いワイヤー
義歯のみで保険の
義歯を入れて心から喜んでくれた患者様をみたことがない。
歯周病治療は決められたルール通りの遠回りの治療で行うしない。特殊薬剤は使えない
根管治療に関しては一生懸命やるとほとんどボランティア治療になってしまうほど治療の評価が低い
このような保険制度を患者様のためと思って数年前には行ってきたが結局は、やり直しが多く患者様にとって安い以外に何も残らないことに気づいた。それからは保険制度をなるべくやらない治療にどんどん切り替えて行った。そして今年ついに100%保険治療から解放されたわけである。
自由診療の選択は安い治療を求める患者様にはハードルが高いと思うが保険治療とは比べ物にならない良さがある。少々高くても一生を通して自分の歯でおいしいものを食べることが出来るのは自由診療なしには行えないと思う。
自由診療を選択された方と保険診療を選択した方の違いがはっきりするのは10年ぐらい経過してからで、大きな差となっていくだろう。好きな食べ物をおいしく食べ続けながら一生を終えるのか
義歯や少ない歯で痛い思いをしながらつまらなく死んでいくのかそれは患者様が選択することである。私は9000人の患者様を治療してきたのでその方の口の中を見れば10年後にどうなるかは簡単に予想ができるので10年後をみながらいつも最善の治療方法を提示している。
治療方針