当クリニックでは平成21年度より歯に詰める被せものや詰め物に金属(チタン以外)の材質を一切使わない治療をしている。一言で『メタルフリー』といってもこれは非常に難しいことである。今までの診療のやり方やシステムを一からやりなおさなければいけないからだ。保険制度の中で金属を使わないで治療をすることはまず無理である。ほぼすべての被せものや詰め物は金属製品しか使えないからだ。日本国内でのほぼ99%の歯科医院で金や銀、パラジウムを使用している。前歯の治療でよくつかわれるセラミッククラウンの中にも一部金属のフレームが補強として使われている。
オールセラミックといってもいろいろな種類がある。私のクリニックでは3種類のオールセラミックを使用している。
ジルコニアは従来のセラミッククラウンのメタル部分と同じようにセラミックを補強するために使用されている。生体との安全性が確立されている物質である。
エンプレスCADはオールセラミックス材質であり、小さな詰めものに多用している。
E-MAX CADは強化型のオールセラミックス材質であり非常に強度があり従来のセラミックスの3倍の硬さを有する。
ジルコニアというと硬いというイメージであるが実際は被せものの内部のうフレーム部分が金属と同様な硬さであるが表面は従来のセラミックよりやや硬い程度である。この材質は主に
インプラントの上部構造体の連結が必要なケースに使用される。
それぞれの3つの材質には特徴があるのでケースBYケースで使いこなしている。
ジルコニアのフレームを加工する機械を
CAD/CAMというが
セルコン、
ゼノテック、プロセラ、など多数ある中でコストと
症例の大きさを考えながら使用している。
E-MAXについてはまだほとんどの歯科医院や
技工所で使用されていないと思う。特殊な材質でありこれを加工するには特殊な
CAD/CAM(
セレックシステムやエベレストシステム)もしくはセラミックプレスシステムの導入ないしには行えない。このシステムは非常に高価であり院内ですべてを加工するには1500万円以上の投資が必要となる。
セラミック表面のパウダーに関してもシステムをすべて変える必要性がある。イボクラ社から販売している
E-MAXセラム陶材でしか加工ができないからだ。国内で主に使用されているノリタケ陶材と比較すると色のバリエーションが豊富であり、強度も高いというメリットがあるがコストがそれ相応にかかる。よいものはそれなりにコストがかかってしまうのは仕方がないだろう。
治療方針