初日
とにかく、不安の朝である。6時に早起きして原稿とスライドを見ながらリハーサル。もうこれ以上どうすることもできないのでネクタイ姿に着替えてホテルのロビー横の朝食会場に向かう。今回は日本人が一人もいない。とにかくすべて自分の力を信じてやるしかない断崖絶壁に追い込まれた状況である。中華粥を食べて少し落ち着いたところで集合時間の8時にロビーへと向かう。誰が誰なのかも見当がつかず待っていると声をかけてくれた人物がいた。DrHenry Ho と現地のスタッフの女性である。とにかく最初はHellow nice to meet you.これではじまりはじまり。誰も知り合いがないので片言の英語でどこまで通じるか疑問であるがなんとか出だしは良しとしよう。タクシーの中でだんだんと彼はどんなひとなのかわかってきた。アジアでは割と名の売れているシンガポールのドクターだったようだ。話を聞くうちに中島やすし先生とも知り合いということだった。彼のこころ遣いでいろいろな台湾ドクターが挨拶に来る。台湾の
インプラント学会の理事長 王先生、台湾の
アンキロスのスタディーグループの代表である林先生、オーストリアの美人Dr Carmen Canado などぞくぞくと紹介をしてもらう。
この初日の講演はアジアの先生方の発表が中心であり、2日目はDrNentwig(
アンキロスインプラント開発者)とDrPaul Weiglの講演が組まれている。台湾のレベルがどれくらいのものかいろいろな演者の講演を聞いてみた。日本と同じようにスキルに相当な格差があるように、できるドクターと大したことないドクターとに分かれていた。私が発表する内容は
アンキロスインプラントがなぜ審美領域にとって有効であるかという内容であったが何人かの先生方と共通の内容になっていた。その中でもDrHenry Hoは最も内容が似ていた。彼の考え方と私の考え方が非常に似ていて彼もそれを理解してくれたようだ。私は海外の講演は初回ということであるが彼はアジア各国で講演をしているようで非常に場慣れした素晴らしい講演内容であった。人物としてもすばらしい。
台湾での
インプラントの普及は日本国内と全く違っていた。
アンキロスインプラントと
ザイブインプラントが最もシェアを獲得しているということだった。世界的に見ても稀なケースである。T.A.S.Cとは台湾
アンキロススタディークラブの略であり今年で7年目ということもありそれだけ
根強く
アンキロスインプラントが台湾ではメジャーな
インプラントということを意味する。日本国内には入らない情報もたぶんこちらの方が早くに入るかもしれない。台湾、韓国、シンガポールのドクターの講演を聞いて
アンキロスインプラントは本来は日本国内ではもっとメジャーになるべき
インプラントだと思った。とにかくブローネマルク
インプラント、リプレイス
インプラント、ノーベルダイレクト
インプラントの失敗がいかに多いかが多くの先生から発表されていたからだ。日本国内ではたぶんこのような失敗ケースはあまり公にならずに隠されてしまうのだろう。デンタルコンセプト21のトップたちも残念ながらこれらの
インプラントばかりを使っている。DrHenry Hoといろいろな話をすることができたが彼も
ノーベルバイオケア社の
インプラントは使わないといっていた。CXタイプも来月にはシンガポールで出されるが30%ほど
インプラントの値段が高いとのこと。高いと使わないかもしれないということだった。彼は90%の
症例を
アンキロスインプラントでこなしているようだ。
ベースは
ストローマンインプラントのコンセプトでありその中で
アンキロスインプラントを使うというスタンスが最も優れるということを再確認した。
台湾の夜はフィーバーである。毎回台湾のパーティーはバンド+中国雑技団らしきもの+ディスコで盛り上がる。台湾人は乗りが良くて私との相性は抜群である。私も踊り、台湾のドクターと非常に仲良くなった。言葉は片言でもハートは伝わるようだ。不安の台湾講演も無事終わり今ではここに来てよかったと思える。新しい道はやはり自分で切り開くことが大事だ。国内でじっとしていても何も始まらない。大きな力を得ることができた。