本日は奥羽大学30周年記念講演会 林楊春 先生 『上顎HA
インプラントの有効性』を聴きにいった。私のクリニックではHA
インプラントはテーパードスクリューベントHAを使用したことがある。現在、国内ではZimmer社のスプライン(カルシテック)、テーパードスクリューベントHA,
AQB,μなどがその仲間である。今回の講演会では林先生の多くの臨床例から多くのことを学ぶことができた。数年前にHAフィーバーが起こった時は私は講演会に出る機会がなかったので今回が初めてである。国内で林先生の講演以降HA
インプラントが相当普及したことは間違いない事実である。
HAとは骨の成分のハイドロキシアパタイトの略であるがこの成分がチタン製の
インプラント本体に付着していることで骨が周囲に絡まりやすく治癒期間を1カ月ほどに短縮することができる。特に上顎のスカスカした骨や
抜歯直後のソケットに使用すると有効である。
ポイントは
抜歯窩周囲の歯ぐきを剥離せずに口蓋側寄りに
インプラントを植立することで自然と骨が回復をしGBR法などの骨造成法が不必要になるということだった。その際にHAタイプの
インプラントを使用すると骨との接触率が高く大変有効である。
多くの術前と術後の
CT画像を示して頂いた。すべてを鵜呑みにするわけにはいかないが臼歯部においてはひとつのレパートリーとして有効だろう。前歯などの審美領域に関してはやはり従来の方法を選択した方が確実性が高いと思う。
HAタイプの
インプラントは国内では割と認知されているが海外特に欧州ではあまり認められていない。すでにHAと同等のチタン表面構造であるSLActiveがあるから必要がない。
スプラインはエクスターナルと呼ばれる構造の
インプラントであるが少し時代遅れである。ブローネマルク
インプラントと同様に緩みが多いタイプである。インターナル構造と呼ばれるタイプはアバットメントとしっかりと連結でき緩まないタイプの方が明らかに有効であるからだ。その点、テーパードスクリューベントHAは1度のインターナルヘックスであることから同じHA
インプラントを使用するならこちらのほうがいいと思う。
AQBやμはHAのタイプが違うのでよくわからない。
結論からいえばどのような
インプラントを使用してもしっかりと骨の中に入れてあげれば
トラブルは少ないのがふつうである。
また、講演の中で
ジルコニア構造物のフレーム部分が破損をしたケースを紹介されたがこれは明らかに
技工士サイドの勉強不足と操作ミスによる破損であると思う。
ジルコニアといえどもあまりに薄いフレームデザインとすれば壊れるのは同然である。特にマージン部を薄く作れば壊れてしまう。
ジルコニアを使用する際はアバットメントの選択も重要でマージンの厚みがある程度とれるタイプのアバットメントを使用するべきだ。また
ジルコニア修復物は
技工士の扱いが悪いと破損しやすくなる。加工時に必ず注水下でおこなうことが重要である。私のクリニックではほとんどが
ジルコニア修復物であり多くの
インプラントケースで使用しているが林先生のようなケースは一度も起きていない。
治療方針