本日は朝いちばんに10年以上前に植立した
インプラント周囲の骨が少しずつ吸収し、いわゆる『
インプラント周囲炎=
インプラントの歯周病』となったケースに対する処置をおこなった。長年
インプラント治療をおこなっていると必ずおこってくる問題である。私は自分なりの基準を作って
インプラント周囲炎の治療をしている。
インプラントの第1スレッドまでの吸収は薬剤注入+抗生物質療法+クリーニング+ブラッシング指導で対処する。これでもうまくいかず第2スレッドまで達して排膿が継続するようであればフラップ法へと移行していく。基本的には歯周病と同じ治療であるが天然歯との違いは
インプラントは表面がチタンであること。チタン表面をどのようにしてクリーンするか?
生理食塩水による洗浄
プラークアウトジェルによる消毒
生理食塩水+ガーゼによる摩擦法
βTCPパウダーによるブラスト処理
私はこの4つを行い、人工骨を欠損部に埋めて閉じるようにしている。これでかなりのケースで骨の回復が達成できている。この際に有利なのは昔のブローネマルク
インプラントのような機械研磨加工、
ストローマンインプラントのSLAタイプである。
ある患者様で毎日5箱のたばこを吸い、コーラを5本飲むという厳しい条件の中にアストラテック2本、ブローネマルク2本、
ストローマンインプラント2本の3種類の
インプラントが埋め込まれていて2年間全くリコールに応じていただけなかった方のそれぞれの
インプラントの状態はひどいものだった。ブローネマルクとアストラテック
インプラントの周囲は3〜4スレッドの骨吸収がおこり1本のアストラテック
インプラントは完全に先端まで吸収をおこしていた。しかし、
ストローマンインプラントだけは全くの骨吸収がなかった。
長期で
インプラントを管理していくとこのような差が大きな差となってくる。私が
インプラント治療を始めたのは平成4年から平成23年まで19年間。そこらの有名
インプラント専門医よりはずっと長いはず。経験的に
ストローマンはあまり
トラブルがないと思う。そしてフォローも簡単である。
画像は各
インプラントの表面構造。この表面粗さは
インプラント周囲炎の起こしやすさと関係する。Sa+値が大きいほど
インプラント表面が荒れていて骨との結合はよくなる半面、感染したときには細菌が凹凸に入り込み除去することが難しくなる。国産の
AQBインプラント、スプライン
インプラントはHAタイプであり骨の結合は良くても感染した時には大変不利である。激安の
インプラント専門医のほとんどがこれらを積極的に使用して毎年何千本というペースで植立していることから今後10年後には相当数の
インプラント周囲炎がおこると思われる。
治療方針