さまざまな新しいブラケットの開発
舌側
矯正学の進歩はブラケット装置の開発にある。開発当初のただ見えないというだけの舌側
矯正装置から現在は患者の快適性重視へと変化している。私が初めて舌側
矯正のセミナーを受講したのは相当に昔の7~8年前だっただろう。フィリオン先生の受講だったと思う。竹元先生の受講は4年ぐらい前だったと思う。この間に舌側
矯正のセミナーは昨年の夏に受講した
インコグニトである。
インコグニトはドクターに対してのハンドリングのよさを追求し患者に対してはより快適で簡単なシステムである。歯の表面に装着するブラケットを
CAD/CAM技術を応用して製作している。装置の開発の結果、舌側
矯正は表の
矯正と同じクオリティーで同じスピードで仕上げることができるようになってきた。
今回、発表された竹元先生が現在試作中のシステムは従来のわずらわしい旧マッシュルーム型のアーチフォームからストレートワイヤ用―の単純なアーチフォームにしたこととブラケットの形状を従来の長方形のスロットから0.018×0.018のスクェアスロットに変えたことである。ワイヤー交換も4つ程度であり、ノーベンディングでフィニッシュまでいける。
また、フィリオン先生が推奨するのがデジタルセットアップを可能にするOrapix Systemである。自分の好きなブラケットとワイヤーを自由に組み合わせてデジタルで正確にセットアップする方法である。この方法は
インビザラインでも利用されている方法である。
ブラケットなどの舌側
矯正の装置の開発以外では歯の移動速度を速める研究が韓国でなされている。最近の文献でどのような
矯正装置を使用してもあまり歯牙の移動スピードは大差がないという研究から薬剤による歯牙移動の速度を速める研究がなされていれPRP利用、レーザー利用、薬剤利用、ビタミンD、電極で20〜30%の歯牙の
矯正移動速度が速くなることが実証されている。しかし、最も有効な方法として即効性のあるのがコルチコトミーである。コルチコトミーは歯牙を囲う皮質骨に刻みを入れることで歯の移動を人工的に速める方法である。この方法は患者に大きな負担を与えることから単純な
フラップレスによるCorticision法が有効とのこと。
ミニスクリューの考え方も大きく変化してきた。私が何年か前に韓国で習得したミニスクリューによる
インプラント矯正では狙った歯牙の移動に使われてきたが歯列弓14本をまとめて動かすということもできるようになってきた。歯を動かすというよりは歯が生えている周囲の歯槽骨のハウジングごと動かすというような考え方である。
今回、時間の関係ですべての講演を聞くことはできなかったが未来の舌側
矯正の方向性を知ることができた。また、多くの国内外のドクターからは震災に対する労いの言葉を頂いた。苦難を乗り越えてはじめて明るい未来がある。そしてこのような悪条件の中でも多くの海外の先生がいらしたことには大会開催の意義があったと思う。西日本大阪は震災前と全く同じで活気に満ちあるれていたことも印象的だった。負けるな東日本!明るさを取り戻そう東日本!といいながら自分も前向きに生きていくぞ!
治療方針
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