QOL(クオリティーオブライフ)という言葉がある。一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。
老後に何をしたいか?というアンケート調査からもわかるように
1位は『夫婦で旅行がしたい』
2位は『趣味に生きたい』である。
このことから旅行にいって観光地めぐり・地元のおいしいものを食べたいと考えている方が非常に多いことがわかる。そのためにはしっかりと自分の歯で食事ができることが条件ということなろう。そこで私は一生涯を通して、自分の歯で食べ物をしっかりと食べられるような長期的な視点に立って治療計画を立てることにしている。
一生涯、歯に問題がなければ結果として長生きできる可能性が高くなることは医学的にも証明されている。野生の世界でも犬歯の抜けた動物は食物を捕獲することができなくなるのでそこで寿命が尽きると言われている。
一生涯、おいしく食べ物を食べるための治療計画には欠損部が発生したときにその1本目をどのような治療法で治すかで結果が大きく変わってくるので大変重要である。
欠損部の治療の選択肢について
1本の歯が抜けた場合の選択肢は3種類。入れ歯、ブリッジ、
インプラント
入れ歯=取り外し式。強くものは咬めない。数年に1回は作り直しが必要で人目を気にしなければいけない。薬剤を一切使わない治療。
ブリッジ=欠損の隣の歯を削って3本連続の固定式の被せもの。歯を痛める可能性が高い。ひどくなるケースでは欠損に隣接する土台の歯が負担過剰で
抜歯となり欠損領域が拡大していく。歯を削るための麻酔薬の使用は必須。 平均7〜8年
インプラント=欠損部の骨にチタン製の土台をいれて歯を回復する固定式治療。周りの歯を痛めることはない。外科治療であり全身の状況や骨の条件ではできないこともある。平均10〜20年
日本人の平均寿命は長くなり80歳まで生きるのは当たり前になってきた。10〜30才代は若年者、40〜60才代は中年、70才代以降は高齢者と考えて、欠損ができた年齢によって3種類の治療法を使い分ける方法を私は提唱する。大まかに分類すると若年者は一番の長期経過のよい
インプラント治療を選択する。中年は残りの寿命を逆算して
インプラントもしくはブリッジ治療を選択する。高齢者は全身疾患など持病が必ずといっていいほど発生してくるので外科治療を回避するとブリッジ治療か
義歯治療を選択することになる。それでは若年者の最初の
インプラント治療が20年後に抜けた場合はもう一度
インプラントをやりなおすかブリッジ治療を選択することで80歳まではなんとか入れ歯にならなくていいだろう。
とにかく、長期成績のよい
インプラント治療でなるべく人生の大半を過ごしていただき、その後にブリッジ治療か
義歯治療で一生を終えるというリレー方式になるようにしないと大半の時期を
義歯で過ごすことになってしまう。
欠損部がない場合
欠損部が発生するのは
虫歯の進行、歯周病の進行、交通事故、生まれつき欠損などが原因であり
虫歯と歯周病は
予防することができる。この両者はともに口の中の汚れ、細菌感染によるものであるから常に歯をきれいに保てば
予防できる。欠損を生まなければ最悪のシナリオは回避することができる。
治療方針
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