日本国内の歯科は飽和状態と言われている。コンビニよりも多い。私の開業する駒沢大学駅周囲でも15件ほどある。それぞれ皆、頑張っていると思う。それぞれの歯科医院が独自の特色打ち出していて、その歯科医院の考え方に賛同している患者が通院している。
患者さんのニーズは人それぞれ違う。特にこの世田谷地区にはいろいろな方が住んでいる。私の場合はさらにインターネット経由でも患者さんが来るので本当にいろいろ悩みを抱えた患者さんが多かった。
とても複雑な悩みを抱えているのだからカウンセリングにも相当に時間がかかる。大抵はどこかの歯科を転々としてまだ治っていないというケースである。なんでこんなになってしまったのだろうか?いつも考えさせられるケースばかりだ。
こういう方たちをたくさん診て、インターネットでも全国から相談を受け続けたから私の治療の考え方が変わっていったのだ。こういう不幸な患者さんを救うことも究極の歯科治療だと考えていた時期もあった。しかし、それだけではいけない。こういう患者を産み出さないような社会にしていかないといけないと思った。
若い経験の先生ほど自分の治療がどれぐらい持つかをわかっていないから後先考えずに自分の考えた治療方法を押し売りする。経験の長い先生ほど慎重に治療方法を選択していく。私の尊敬する数少ない
インプラント専門医は経験30年近いから私より先の先を見ながら
インプラントの種類や補綴方法を選択している。その患者さんが高齢者になって要介護になってもメインテナンスのできる補綴としている。
インプラント専門医なら当然のことではあるが現実にはなかなかできない。
欠損を作らないようにするには幼少期から
虫歯をコントロールすりことが最も重要である。20才まで
虫歯が全くない状況を作る。20才以降は歯周病の管理をしていく。目標は死ぬまで自分の歯で健康的アクティブに生活できるようにすることである。
患者さんを幼少から管理していく環境は国が整備して欲しい。現実の保険制度はカルテに病名がつかないと保険で治療はできない。
予防歯科は治療ではないから保険は適用とならない。国はこの分野には今後、医療費をかけるつもりはない。高齢化していく社会において若い世代に医療費は使いたくないし財源もない。これから要介護になる方が増えていくとますます医療費がかあるからだ。歯科においても治療に医療費財源が増やされることはない。今後は要介護を作らないようにするところに財源が使われていく。
医療改革も目先で行うからこんなことになる。若者が減って老人が増えて、働き手は数少ない若者であり、彼らの生活の負担額はどんどん増えていく。
予防歯科は将来の不幸な患者を産み出さない究極の歯科治療である。今のところ全歯科医院で実現させるのは無理だ。やはり国のバックアップなしは辛い!今の治療中心の歯科産業が潰れて新しい
予防中心の歯科産業が生まれていく社会になるといいと思うが私の生きている間に実現できるかどうか。