今週いらした患者さんで最も悔やまれるケースがあった。私が過去に手掛けた8歳から12歳ぐらいまでの
矯正の小児の患者さんである。5年ぶりぐらいに来院され、成長をした姿をみてよかったと思いながら口の中をのぞいてみると銀色に光るクラウンが装着されていた。12歳までは
虫歯がない状態だったのに17歳でクラウンが他の歯医者で装着されてしまったことにショックを受けたのだ。2年前からスタートさせたMTM(メディカルトリートメントモデル)を実行して彼女にもメインテナンスの重要性を知ってもらえていたらこのような結果にはならなかったはずだと反省した。
虫歯の原因について知ってもらって
予防を徹底していればこんな結果になっていなかった。自分の娘にクラウンを装着されてしまったような気分である。17歳で抜髄されクラウンになってしまった歯がこの先80歳まで持つ可能性は非常に低い。クラウンに再度問題が起こった時には
抜歯となる可能性が高くその先にはブリッジ治療か
インプラント治療になってしまうことが予想される。
いままで多くの患者さんに
インプラント治療で欠損を修復してその修復物が持ちするようにするためのメインテナンスに力をいれてはいたが
インプラントや他の修復物だけが生存しても意味がなく、すべての歯が再度同じような治療になっていかないようにしなければいけないと思う。
インプラントにならないようにしていくにはその患者ができれば生まれる前から母親に
予防の知識を教えてあげて生まれる前から母親の
虫歯菌の数を減らしておくことから始めるべきだと考えている。母親から
虫歯菌が生まれてきた子供の歯に感染するのは1歳半から2歳ぐらいだからそれまでに母親をコントロールしていく。生まれた子供に対しては教育を受けた母親が正しい食生活を子供に提供していく。そしてこの時期から母子共々口腔管理を初めて20歳までは
虫歯が全く発生しない環境に整えていく。20歳まで
虫歯が全くない児童は80歳まで
虫歯のほとんどない状況を作り出すことができる可能性がとても高いというデータがある。20歳以降は歯周病が発生してくるのでこの時期からは歯周病菌が悪さをしないようにコントロールしていく。これを
星野歯科に来た患者さんにすべて行うことで健康な患者さんを増やしていく。悪くなってから歯の治療をする病院ではなく悪くなくても定期通院して健康な状態を維持していくことが重要である。
左下の画像はクラウン装着から20年以上経過して歯
根破折で
抜歯されたクラウン修復歯。抜髄(神経を抜く行為)により生活歯は失活歯となります。失活した歯は枯れ木と同じです。栄養分を
根から吸い取ることのできない枯れ木は台風で枝や幹が折れてしまいます。それと同じように失活した歯の寿命は血行が途絶えているので歯の質が脆くなります。結果として失活歯の寿命は生活歯の半分になると言われています。
下中央の画像は生き生きとした銀杏の木と右下の画像は朽ちた銀杏の木です。