本日は第5回日本メタルフリー歯科学会に参加してきた。その中でも興味深い講演内容があったので紹介しよう。
全国の13歯科大学で集計した歯科材料による
金属アレルギー研究の報告である。歯科で取り扱う材料には金属、レジン樹脂、
ジルコニア、セラミック、セメントなどさまざまなものが存在する。その中で特にアレルギーが発生する材質は金属の中の
ニッケル、
コバルト、パラジウムである。
2001年から2008年に13歯科大学に来院された
金属アレルギーを疑う患者1000人を対象として行われた疫学調査である。
男女比 200人:800人(女性が多い)
平均年齢 50.1歳
チタンを含めた18種類の金属試薬でパッチテストを行う
臨床診断名 口腔内疾患では扁平苔癬が49名、舌痛症12名、口腔外疾患では
掌蹠膿疱症 128名、
金属アレルギー24名、アトピー性皮膚炎22名
1000人のうち陽性反応を示したもの58% 581名
パラジウム 222名
ニッケル 191名
クロム 143名
コバルト 135名
水銀 44名
すず 147名
金 90名
白金 72名
亜鉛 97名
交差反応
パラジウムー
コバルトー
ニッケル
この3つはどれかひとつのアレルギーがでると残り2つの金属にもアレルギーが出やすい。
このような全国の歯科大学で調査した結果からもわかるように保険制度で多数使用されている金銀パラジウム合金はもっともアレルギーが多いことを意味する。しかし、国民の総数1億からするとアレルギーとなっているのはほんのわずかということも言える。
なるべくなら使わないほうがいいことは言うまでもないし、大臼歯部の
虫歯治療でクラウンを選択する場合は保険制度ではパラジウム合金しか選択肢がないのだからここは問題がある。そのほかの部位はレジン樹脂系が選択できる。但し、レジン樹脂系のクラウンは耐久性に劣り変色することから当クリニックでは
金属アレルギーのない
ジルコニアや
e-maxセラミックを第1選択としていて、治療費用が捻出できない方にはレジン樹脂系の材質を使用するようにしている。
私のクリニックでは7年前から一切、パラジウム合金を使用していない。