今年の夏で開業20年となる。20年も臨床をやっていると治せない
症例というのは1%ぐらいしかないように思う。毎日繰り返す治療のクオリティーを上げる努力はしてきたが拡大鏡にもマイクロスコープにも慣れて自分の目となってからはここからさらに精度を上げるというのはなかなか難しいと思われる。
あらゆる難
症例をこなして、その経過を長年みてきた結果がいまの診療スタイルになっている。考え方も開業当初からは相当に変わっている。
例えば歯に使われる材質の選択など昔ならば平気で金合金やパラジウム合金を使っていたがいまは患者の口の中に装着されている金属をはずすことはあっても装着することはない。代用のセラミックスであったり
ジルコニアがあるからだ。
インプラント治療でもあまりに難
症例であれば無理をしないようにしている。
矯正治療でも骨格性のものは手をつけないようにしている。自分の技量を知りできるだけ治療の選択肢を持ちながらも手をつけない
症例は専門医に送るという姿勢がいいと思う。
若い頃は何でもかかって来いという意気込みで治療を始めてよく失敗をしたものである。
技術的には治癒したと思われた
症例でも長年の喫煙や全身疾患から問題を起こすケースがあり、これは最初の患者教育が間違っていたからそういう結果を生んでしまったことに数年前に気づいてから治療のスタイルが変わった。
インプラント治療の後に問題を起こす患者の大半は喫煙からくる
インプラント周囲炎であるから、いまでは禁煙できないような患者には
インプラントは勧めていない。
何度教育しても歯も磨けない
虫歯だらけの患者には
矯正治療はしない。
虫歯が治ってさらに自分で歯の磨き方を理解できるように教育してから
矯正治療をおこなうようにしている。
結局のところ我々歯科医師は歯の治療に重きを置きすぎて、
虫歯や歯周病の原因を教えずに治療をしすぎた。ここを変えなければ世の中は変わらない。いまだに日本人の80歳代の平均の歯の残存数がわずかに10本程度である。先進国としてはとてもはずかしい数字である。
国を挙げての
予防教育をしていかなければ医療費は増える一方で国の税金収入ではやりきれなくなる。
星野歯科では
予防教育に相当な治療時間を割いている。患者さんが自分で歯を守る正しい方法を身につけてからでないと本来の治療を始められない。
星野歯科では2か月間この教育期間を経てから専門的な治療に入ることにしている。