オムニカム(光学印象)デジタルデータのみVSアナログ石膏模型
こんなタイトルをつけても一般の患者さんはなんのことかさっぱりわからないと思うに違いない!
しかし、この課題は私と
技工士そして全歯科医師が関心をもっていることなのです。
いま、歯科の世界は大きく変わろうとしています。50年前から続いていた歯の修復物を作る方法として歯型をとるという行為がなくなろうとしているのだから大変なことなのです。
患者さんも気持ち悪い思いをしながら歯型を口の中に流し込まれて固まるのを数分待つという行為はとても苦痛でした。嘔吐反射の強い方はこれが苦手で歯医者にいきたくないという理由のひとつになっていました。
先日導入したオムニカム(製品名)は光学スキャナーで歯の写真を連続で取り、データをつなぎ合わせて融合させて一つの3Dデータにすることができます。その3Dデータ上で歯の修復物を設計し、歯の修復材料であるセラミックやレジンを
CAD/CAMで形成加工することでオールデジタルで修復物を製作できるのです。
しかし、多くの問題点を抱えているのも事実です。今までは歯型に石膏を流し込んで固めることで石膏模型=歯の形を再現してその模型上で修復物を製作していたので、目の前の模型を参考に歯の修復物を加工することがでました。
オールデジタル方式だと模型は手元にないので
技工士さんは参考にするものが手元になくてとても不安になるようです。
オールデジタルの利点はすべてがSTL方式のデータなので素早い加工ができる点と無駄な材料は一切いらないという利点があります。それと作業の途中にさまざまな精度を低下させるような材料がないことと歯科医師の技術格差が全くないという点も利点として挙げられます。
このオールデジタルにおいても作業用の模型をデジタルデータから作り出す方法も考えられています。そうすればデジタルデータで製作した修復物をデジタルデータから作り出した石膏模型(石膏プリンターなどで製作)に修復物をいれてさらに精度や形態の修正ができるようになります。現在はこの作業用模型の部分が欠落している点がオールデジタルのネックとなっています。